5月1日から改正戸籍法(および改正住民基本台帳法)が施行されました。

これまで不正目的でなければ、誰でも他人の戸籍等をのぞけたわけですが、これからは行政書士といえども「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合」でなければ、戸籍謄本等の交付の請求ができないことになりました。

そこで最近の土地家屋調査士(兼行政書士)による戸籍謄本不正取得問題から。

戸籍を不正入手し埼玉で身元調査判明
「解放新聞」(2007.07.09-2326)

・・・Kは、埼玉県行政書司会東山支部の支部長を1995年から4期8年務めたが、Kの支部運営に批判が出て2003年の改選時にAさんが立候補、選挙の結果A さんが支部長に選ばれた。それ以来、KはことあるごとにAさんと対立し、その後の支部長改選時にはAさんを中傷するビラが配られることもあった。

今年の2月、Kがプライベートな情報を知っていたことに驚いたAさんは、「私を誹誇するために、もしかして戸籍謄本を取得し、あら探しをしているのでは」と疑問を抱き、本籍地と現住所のある狭山市と吉見町に情報公開請求をした。その結果、Aさんの知らない間に、Kが土地家屋調査士会の発行した「職務上請求書」を使用し、Aさんの戸籍や住民票を不正に取得していたことが判明した。・・・

何でこうなってしまうのか。K氏はどこか自分の行為は「不正」ではない、「職務のための正当な行為だ」という思いがあったのでしょうが、いささか拡大解釈に過ぎたというべきでしょう。

行政書士倫理
(目的外の権限行使の禁止)
第4条 行政書士は、職務上の権限を目的外に行使してはならない。
(誹謗中傷等の禁止)
第26条 行政書士は、他の行政書士を誹謗中傷する等、信義に反する行為をしてはならない。

また、受任事件に関連するなら、何でも職務上請求書が使えるわけではなく、探偵社から身元調査が疑われるような戸籍謄本取得の依頼があった場合は、受任段階で拒否しなければいけません。

行政書士倫理
(不正の疑いがある事件)
第14条 行政書士は、依頼の趣旨が、目的、内容又は方法において不正の疑いがある場合には、事件の受任を拒否しなければならない。

ロースクールに法曹倫理の授業があるように、行政書士の倫理研修はもっと広く行われるべきと考えます。

ちなみに他人に自分の戸籍がのぞかれているなと思ったときは、先のケースの行政書士Aさんが行ったように、戸籍登録のある役所に個人情報の公開請求を行い「平成○年○月○日から平成○年○月○日までの自己に係る戸籍謄本等職務上請求書」「自己に係る本籍地記載の住民票の写しの交付申請書」などを開示するようにいいます。のぞいていた者が土地家屋調査士のような個人事業主であれば、そのまま名前が表記され「開示」となりますが、一般の個人の場合は個人情報ということで名前が黒塗りとなり「部分開示」となります。もし誰ものぞいていなければ、文書の不存在ということで「不開示」となります。

埼玉県鶴ヶ島市役所平成18年度個人情報の開示制度等の利用状況一覧表

なお役所への開示請求については行政書士による請求書の作成、手続き代理が可能です。